JP EN

開催中

ICHIHARA×ART×CONNECTIONS-交差する世界とわたし

2024.03.23.Sat.

- 2024.06.23.Sun.

アートを通じて<わたし>と世界が交差(クロス)する


遥か3万年前、イヴの子孫たちが海を渡りたどり着いて以来、日本列島はさまざまな形で民族の移動、グローバリゼーションを経験してきました。千葉県の中央に位置する市原市もまた、全国・世界から移り住んだ数多くの人々を受け入れ、人口の50人にひとりが海外にルーツを持っています。「ICHIHARA×ART×CONNECTIONS-交差する世界とわたし」は、市原に暮らす多様な民族的バックグラウンドをもつ人々が共に生きる社会を希求するプロジェクトです。彼らの母国から招いたアーティストたちが、ワークショップやリサーチ、インタビューを通してうみだす作品は、それぞれの国の歴史・文化・風土、そしてこの地で暮らす人々の人生や思いに光を当て、私たちの想像力をひらいていくことでしょう。本展が多文化共生社会に向けて、世界と<わたし>がつながる契機となることを願っています。

出展作家:ディン・Q・レ(ベトナム)、リーロイ・ニュー(フィリピン)、リュウ・イ(中国)、チョ・ウンピル(韓国)

※本展は、千葉県150周年記念「100年後芸術祭-内房総アートフェス」(総合プロデューサー:小林武史、アートディレクター:北川フラム)の一環として開催されます。

映像制作:田村融市郎

見どころ

母国からやってきたアーティストたちの表現

322万3858人―日本国内の在留外国人の数は過去最多となりました(2023年6月末/出入国在留管理庁)。地域では多民族化が進み各自治体は「多文化共生」という言葉を掲げ、市原市もその例外ではありません。約50人に1人が在留外国人であり、国籍別にみるとフィリピン、中国、韓国・朝鮮の順に多く、最近ではベトナムからの移住者も増加傾向にあります。来日した人々の背景や在住歴は様々であり、移動の中で彼らの文化やアイデンティティは形成されてきました。
本展は、そのような在留外国人が自国の文化や自らのルーツに誇りを持ってほしいという願いから始まりました。今回は、フィリピン、ベトナム、中国、韓国から世界で活躍するアーティストを招聘し、市原市内で在留外国人へのインタビューをはじめとしたリサーチを行いました。各々のリサーチから生み出された作品からは、「外国人」という固定化されたイメージを超えて、そこで出会ったひとりひとりの気配や文化を感じることができるでしょう。様々なルーツを持つ人たちと彼らの母国からやってきたアーティストのアイデンティティが交差する――そこから生まれるアートが、今この多文化共生社会に生きる<わたし>と世界をつなげます。

ディン・Q・レ《絆を結ぶ》 写真:田村融市郎

ベトナムと日本の「絆を結ぶ」巨大キルト

ベトナム戦争によりボートピープルとしてアメリカに脱出し、移民として暮らした経験ももつベトナムを代表するアーティスト、ディン・Q・レ。彼は、市原に生きるベトナム人にインタビューを重ねるなかで、いかに彼らが故郷の家族を思い、人と人とのつながりを大切するかを知り、この地で新たなつながりが生まれることを願い、「絆を結ぶ」というタイトルのもと、ベトナムで集めた古着と、市原で集めた古着を、日本人とベトナム人、さまざまなルーツをもつ外国人が協働して巨大なキルトとラグを作り上げ、インスタレーションします。

リーロイ・ニュー《多次元港としてのバレテ》 写真:田村融市郎

フィリピンの神話的世界と環境問題をつなぐ大規模インスタレーション

かつて「スモーキーマウンテン」と呼ばれるゴミの山で知られたフィリピン。世界の国際展でも活躍するアーティスト、リーロイ・ニューは、廃棄物を使って、身に着けることができるウェアラブル・アートから大規模なインスタレーションまで多彩な作品をつくり、欧米による植民化以前のフィリピン独自の芸術表現を探求してきました。本展では、何千本ものペットボトルと竹でできた巨樹バレテを軸に、フィリピンの民話・神話的世界をSF的なインスタレーションとして展開します。廃棄物でできた空飛ぶ宇宙船、ウェアラブル・アートを身に着けた”ヒト“。それは、現在の地球規模での環境問題に注意を喚起するものでもあるのです。

(上)リュウ・イ《はじめまして》(下)チョ・ウンピル《私の青》 写真:田村融市郎

伝統と現代――長い交流の歴史をもつ中国、韓国のアーティストたち

日本にとって最も長い交流の歴史をもつ中国、そして朝鮮半島。困難な時代を経ながらも、私たちの日本の文化は深く両者の影響のもとに成立してきました。中国のアーティスト、リュウ・イは、市原に住む中国人のライフストーリーの聞き取りを通して、異国の地で自らの固有性を保ちながらも、居場所を求める中国人の魂の旅を、中国古来の水墨画の技法を活かしたアニメーション作品として描きだします。一方、韓国のチョ・ウンピルは、かの国で特別な色であり、愛されてきた「青」をテーマに作品をつくり続けるアーティストです。今回は湖に触発された美術館の内外に青の世界を現出させます。

プロフィール

ディン・Q・レ(DINH Q. LÊ)

1968年ベトナム、カンボジアとの国境付近のハーティエン生まれ。ホーチミン在住。1978年、ボートピープルとしてベトナムを脱出、家族でアメリカへ移住。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で学んだ後、ニューヨークのスクール・オブ・ヴィジュアルアーツで写真を学び、修士課程修了。
2015年に森美術館で開催された個展「ディン・Q・レ展:明日への記憶」では、ベトナム戦争終結から40周年の節目に、歴史上で取り上げられてこなかった市民の声を拾った作品の数々を発表した。2019年の瀬戸内国際芸術祭では、粟島でのリサーチと地元住民へのインタビューを元に《この家の貴女へ贈る花束》のインスタレーションを制作。
主な発表に、ドクメンタ13(2012)、シンガポール・ビエンナーレ(2008 、2006)、第50 回ヴェネチア・ビエンナーレ イタリア館(2003)がある。エリザベス・リーチ・ギャラリー(2023、2021)、ケ・ブランリー美術館(2022)、ニューヨーク近代美術館(2010)等で個展を開催。
2024年4月6日逝去。

リーロイ・ニュー(Leeroy New)

1986年フィリピン南部ミンダナオ島生まれ。マニラ在住。
フィリピン大学美術学部卒業。身に着けることができるウェアラブル・アートから大規模なインスタレーションまで、多彩な作品をつくる。また、「廃棄物」を素材として着目し作品制作を続け、フィリピンの芸術教育における欧米のスタイルから脱却し、植民地以前のフィリピン独自の芸術表現を探求している。
作品制作にあたっては、市原市内で海外にルーツを持つ大人や子どもたちとペットボトルを使ったワークショップを実施した。
主な発表に、ハワイトリエンナーレ(2022)、ドバイエキスポ(2020)、シドニービエンナーレ(2022)等がある。また、福岡アジア美術館のアーティストインレジデンス(2022)に参加。主な受賞に、アテネオ・アート・アワード(2018)、フィリピン文化センター・13アーティスト・アワード(2012)がある。ニューヨークのアジアン・カルチュラル・カウンシルの芸術助成金採択(2015)。2011年には、レディー・ガガの「Marry the Night」のミュージックビデオに、彼の彫刻したシリコン・ビスチェが登場した。

リュウ・イ(Liu Yi)

1990年中国浙江省寧波市生まれ。杭州在住。2016年に中国芸術学院修了。
リュウ・イは自身の個人的な経験や人生、そしてアニメーションやマルチメディアを通じて見たり聞いたり理解したことからインスピレーションを得ている。
彼女の作品手法は、中国初期のアートフィルムを基盤にしており、空間インスタレーションなどの手法を用いて、アニメーション作品や国境を越えた舞台作品を数多く制作している。
主な発表に、オランダ・アニメーション映画祭(HAFF)(2017)選出、上海都市空間芸術祭(SUSAS)(2019)等がある。主な受賞に、華国際短編映画祭で特別推薦賞がある。ソウル美術館の「SeMa Nanji Residency Project 」(2018 )に招待、フランス、アンジェのフォンテヴロー王立修道院のアーティスト・レジデンス(2019)に参加。キプロス・アニメーション映画祭(2019)で審査員を務めた。

チョ・ウンピル(CHO EUN PHIL)

韓国釜山生まれ、在住。釜山大学校彫刻科卒業、スレード美術学校修士課程修了(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)。
独特な青を使ったインスタレーションを中心に、映像作品などを手がける。「青を主な造形要素として捉え、日常的な素材を非日常的な空間に転換する」ことに挑戦している。
青は、韓国の伝統的な「五方色」に含まれ、彼女の作品には、韓国の伝統と文化を垣間見ることができる。
主な発表に、釜山市立美術館(2008、2012)、ソウル・オリンピック美術館(2015)、江原道国際トリエンナーレ(2021)、金剛ネイチャー・アート・ビエンナーレ(2020)等がある。主な受賞に、釜山ビエンナーレシーアートフェスティバル大賞(2013)、春川文化放送現代韓国彫刻招待展金賞(2016)等がある。

基本情報

開館時間平日 10:00 〜 17:00 土曜・祝前日 9:30 〜 19:00 日曜・祝日 9:30 〜 18:00
最終入館は閉館時間 30 分前まで
休館日火曜日(4月30日を除く)
*本展覧会会期中は、本展、常設展含み月曜日は開館しております。
料金一般:1,000( 800 )円 / 大高生・65 歳以上:800( 600 )円
*()内は 20 名以上の団体料金。
*中学生以下無料・障がい者手帳をお持ちの方(または障害者手帳アプリ「ミライロID 」提示)とその介添者( 1 名)は無料
*内房総アートフェス会期中(3/23~5/26)に芸術祭パスポートをお持ちの方は、パスポートのご提示でそのままご入館できます。
主催市原湖畔美術館[指定管理者:(株)アートフロントギャラリー]
後援市原市教育委員会、中華人民共和国駐日本国大使館、韓国大使館 韓国文化院
協力市原市国際交流協会、オープンロード合同会社、energy closet

ワークショップ・イベント

ピクニック

近日開催湖畔とピクニックとマルシェ

LINK

イベント

開催中ギャラリーツアー

LINK

ピクニック

終了湖畔とピクニックとマルシェ

LINK

ピクニック

終了湖畔とピクニックとマルシェ

LINK

イベント

終了トークショー「隣人のあなた『移民社会』日本でいま起きていること」

LINK